他人に対して所有権の正当性を主張する証明
不動産登記の目的として「所有権を第三者に主張できる」という理由があり、民法は登記された不動産の所有権を認定する明文規定があり、第三者が現れて、ここは自分の土地だと主張しても登記があれば対抗できます。
ですから、法律上「ここは自分の土地」と広く主張する要件として、売買契約をして代金を払っただけでは不足で、登記がなければ所有権の正当な主張とみなされないのです。
ただ現実は、登記は義務でなく、個人の意思でするか否かを決定でき、「使えない土地を相続しても所有だけで固定資産税が課されるのはたまらない」として放置状態の所有者不明の土地も存在します。
所有権が確定すると信頼して取引が可能
上述の通り、他人に対し所有権を主張できる意味で登記の重要性があるのですが、不動産登記が役立つシーンは他にもあります。
登記簿は取引を円滑に進めるための潤滑オイルともいわれ、仮にこの土地を好条件で売ると持ちかけられても、本当にその人が真の所有者なのか信用できません。
登記簿謄本に記載された真の所有者との取引でなくては、安心して取引できるはずがありませんので、不動産取引を安全でスムーズに行える目的も持っています。
なお、家族間で信頼のおける間柄での取引だから登記は不必要か、といえば決してそうではなく、悪意のある第三者が登記を悪用して、お金を騙し取る事件も起こっているのです。
登記簿記載事項と個人情報保護の関係
誰でも閲覧可能なのに、登記簿には所有権者の氏名や住所だけでなく、借入金額まで記載がありますが、個人情報との関係はどうバランスが取られるか考えてみます。
確かに、登記簿謄本には、所有者の住所・氏名以外にも、これまでたどった権利関係の経緯や借入金債務額などが細かに記載されます。
一方この登記簿謄本は、印紙代を収めれば、だれでも自由に見ることが出来ます。
結論から言えば、個人情報取扱事業者は個人情報を保護することとされていますが、個人情報保護法で国の機関が除かれているため、法務局で個人情報を取り扱うことは、法律に反しないとされます。
確かに不動産登記簿記載事項と個人情報保護の関係は、マンション開発業者が営業活動に利用する等のトラブルが生じていることは事実ですが、現時点では、正式にそのような行為を禁止する法律は制定されていません。
この点につき、個人情報保護法に抵触する恐れのある登記簿記載事項も、国民の大切な財産である土地・住宅の保護やスムーズな不動産取引を優先しているのだと言えます。
このような趣旨を関係者全員が理解して、登記簿謄本の有効な利用に資してトラブルを回避することが求められます。
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