投資するサイドと融資するサイドの不動産評価の視点
不動産投資家が物件を評価するときに重視する指標は、利回りやキャッシュフロー、ROIといった収益に関する項目です。
一方、融資をする金融機関が物件を見る視点は全く異なり、担保物件としての評価がメインとなってきます。
多くの融資を受けて好物件を購入するためには、投資家と金融機関双方の視点を認識して物件選びをする必要があります。
金融機関が物件を評価する積算評価
金融機関の不動産評価方法は金融機関により、少しずつ異なっていますが、大きく分類すると積算評価と収益評価の2つの評価方法があります。
最初の積算評価は、土地と建物を個別に評価して足し上げる方法です。
多くの地方銀行はこの方式を採用していると言われ、押さえておきたい評価方法です。
ちなみに、一方のメガバンクなどは、積算評価と収益評価を併用していると言われます。
積算評価の具体例
積算評価の算式は、土地と建物を別個に算出しますが、土地の積算評価は路線価(国税庁が定める)×土地の広さという式で求めます。
路線価は、国税庁が毎年夏に公表する、相続税算定目的で道路ごとに設定する価額で、国土交通省が公表する公示価格のおおむね80パーセントが基本とされます。
この路線価は国税庁のホームページでだれでも簡単に閲覧が可能です。
地価マップで見たい地区の地図を見ると道路に数字が付されているのがわかります。
この数字は1平方メートル当たりを千円単位で表示されており、この道路に面した土地はこの価格を路線価にしますという意味で、この路線価に対象物件の土地の広さを乗じた価額が、金融機関が使う土地の積算評価です。
つまり、貸した資金の返済が期待できなくなった際に、担保とした対象土地を売却したら幾らかという額を、余裕を見込んで見込んだ額と言えます。
ただし、基本的な計算式は上記の通りなのですが、積算評価法ではさらに諸条件による諸調整がなされます。
第一に用途地域による価格調整がなされ、商業地域はプラス評価が期待できますが、建築物に制限のある低層住居専用地域や工業地域であればマイナスの調整がされます。
第二に土地の形状による価格調整がなされ、土地は接道面が広い方が好まれ、正方形の地形や角地は高い評価が期待できる一方、引き込み道路のある奥まった土地や、接道が短い土地は低く評価されます。
将来の収益の見込みで評価する収益還元法
収益還元評価は、賃貸収入から諸コストを控除した、還元利回りで物件の価額を除する方法です。
この手法は2つのタイプが主に用いられ、直接法とDCF法に分けられ、どちらも物件の収益性に着目し、今後の見込み収益を現在の収益から割り引く手法です。
直接還元法を例に説明すると、対象物件の周囲の事例等を調べ一定の利回り水準を仮定して、収益性から物件価格を逆算する方式です。
物件を長期わたり保有するケースに適した評価方法と言われ、利回りの仮定水準が大きな影響を与えます。
具体的な算式は「1期間の純収益÷還元利回り」とされ、具体例に還元利回りが7パーセント、年間収益を500万円、年間諸コスト100万円の物件と仮定すれば、(5百万円-百万円)÷0.07=約5千7百万円と評価されます。
Comments are closed.