不動産投資のDSCR(借入償還余裕率)とは

金融機関からの融資で始めるデメリット面

同じ賃貸経営を始めるケースでも、融資金額を増やして借入金比率を上げレバレッジ効果を最大限効かせると、自己資本は少額で済み、これに対する利益率は高めることが可能です。
その一方で借入金比率を高めることは、空室や思わぬ多額の修繕費など投資環境の悪い影響変化に対応して大きく自己資本利益率が低下するというリスクも持っています。

これは、投資に当たり少ない元手で、借入金比率を高めレバレッジを最大限にするほど、利益率の変動幅が大きいという意味で、ハイリスク・ハイリターンと呼ばれます。
そのため、投資物件選定に当たり、同じ自己資本比率で優劣を比べることが、重視されるのです。

金融機関からの融資で不動産投資をするメリット面

しかしながら、不動産投資であれば、初期の投資額自体が多額なため、金融機関から融資を受けずに、全額を手持ちの自己資金で投資を始める事は極めてまれです。
最大のメリットは、金融機関の借入金を活用する投資には、自己資金をはるかに上回る多額の投資が出来ることが大きいです。

さらに、他のタイプのモノと比較すれば担保価値が認められる事、相続税の評価の際、資産の建物は低い評価の一方、負債の債務残高が実額で差し引かれるため節税効果が得られる事が代表的です。

借入金比率は投資に当たり重要

このようにみると、賃貸物件への投資に当たり、金融機関からの借入金を活用する事には、一定のメリットがあることがわかりました。
その一方で、デメリット面が実現するケースも少なくはなく、不動産投資の失敗の多くのケースが、借入金の返済遅延が理由なのです。
借入金比率が高いと月々の返済額も多く、賃貸収入の多くを返済に回すような例では、物件に空室が生じるとたちどころに返済が出来なくなる恐れがあるのです。

返済遅延リスクを回避するための指標

それでは、不動産投資を始めるに当たり借入金をどの程度活用すればよいかの基準である「DSCR」という指標を説明します。
DSCRは、毎月の安定的な借入金返済の度合いを判断するために有効な指標で、DCRまたはDSCも同じものです。

DSCRの算出は、「NOI(償却前営業利益)」÷元利金返済額であらわされます。
NOIは年間賃貸料総額から、修繕費や税金などの物件の管理費用を控除した利益額で、投資物件のキャッシュフローです。
聞けば納得ですがDSCR が1より小さいという事は収入で借入金を返せない事になり、経営として成り立ちません。

実際には、多少余裕を持つ必要がありますので、DSCRは1.2以上である事が、金融機関の信頼を売るために必要と言われますが、現実的には、DSCRの分子であるNOIも分母である借入金返済額も、変動の可能性があるため、フレキシブルなプラン・対応が必要です。

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