不動産投資において利回りはあまり意味がない
投資用の賃貸物件選定に当たって、誰もが真っ先に目が行きがちなのは表面あるいは実質の利回りで、直感的に利子収入をイメージさせる数値です。
ところが、物件によっても異なるのですが、賃貸物件の世界では多くのケースで、利回りは5~10パーセントと表示されています。
そのため、投資信託をはじめ金融商品への投資、ましてや金融機関への預金に比べるとかなり有利に映ります。
ところが、不動産投資においては物件購入時に多くの人が金融機関から「借入」をして購入資金に充てており、支払い金利が発生するため利回りはあまり意味をなしません。
融資を受けて投資する場合の利回りの意味の変化
当該不動産について表示される利回りは、物件の代金すべてを自己資金で手当てした場合の利回りです。
金融商品のケースは多くの場合手元資金を運用するためそれを前提とした利回りが表示され、分かりやすい指標です。
一方、不動産投資では、多くの場合利用される金融機関の融資を活用するため「利回り」のとらえ方が2つのポイントで大きく変わります。
1点目は、融資を受けた金額だけ、投資額となる「元手(手持ち資金)」が少なくて済む点でこれは利回りを大きくする要因です。
2つ目は、毎月の賃貸収入から決まった額を借入金の元本と利子の返済に充当する点で、こちらは大きく利回りを低下させる要因です。
そのため、不動産の利回りを他の金融商品の利回りと比較するのであれば、少なくともこの2つの観点を加味することが不可欠といえます。
ROI(投資収益率)で自己資金に対する回収割合を算出
この様な分かりにくい不動産投資の利回りを捉えやすくするために使われるのが、「ROI」(投資収益率)という指標です。
ROIは、投資した自己資金額に対し何パーセントが回収出来たかを測る指標です。
計算式は、「年間キャッシュフロー÷初期投資額 × 100」で算出されます。
このときのポイントは、分母が不動産物件の値段、初期に投資した手元資金であるという点です。
もう1つのポイントは分母が年間賃貸料ではなく、賃貸料から管理費や税金などの諸経費と借入金の元利金の合計を控除したキャッシュフローを使っている点です。
ROI の計算例
例として、初期投資の手元資金300万円、金融機関からの借入金1,500万円で価格1,800万円の賃貸物件を購入したケースを上げます。
賃貸収入が年に108万円、修繕費や税金など諸経費が年間8万円、借入金の元利金返済額が年間70万円とします。
物件として販売される際に謳い文句として表示される表面利回りは、賃貸収入108万円÷物件価格1800万円×100=6パーセントと算出され、実質利回りは、(賃貸収入108万円-諸経費8万円)÷物件価格1800万円×100=5.5パーセントと算出されます。
このケースでROIを算出すると、(賃貸収入108万円-諸経費8万円-返済金70万円)÷手元資金300万円×100=10パーセントと算出されるのです。
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